日中脳神経外科連盟第3回学術集会(第11回日中友好脳神経外科学会)に参加して

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学会や研究会への参加は、最新の知識を入手したり同じような仕事をしているけれども普段あまり交流のない方々との意見や情報交換の場として大変重要です。ただ現在は様々な学会や研究会があるので、自分で最も重要なものを選択して参加するようにしないと日常の臨床業務にも支障をきたすことになります。

僕は内視鏡脊椎外科が専門ですのでそのような会を中心に参加していますが、もう一つの興味は国際交流です。医師も患者さんも国境を越えて行き来できれば、世界はもっと平和になっていくのではという思いがあります。そんな思いから4年前までは中国の福建省で医療を行っておりました。このことに関してはいつかゆっくりまた書く機会があればと思っております。4年前の帰国から日本で慌ただしく活動していたため、この4年間中国に行く機会がありませんでした。今回中国のウルムチで日中脳神経外科連盟第3回学術集会というのが開催されたので、久しぶりに中国を訪問してきました。

この会はその前の日中友好脳神経外科学会というものから数えると11回目という歴史があります。しかしそれよりずっと前から高倉公朋先生や寺本明先生など日本の脳神経外科の諸先輩方が中国へ医療援助や技術指導をしてこられた歴史があります。しかし中国の技術の向上のスピードはものすごく早く、単に手術操作における技術という点では、日本が優位性をもって指導できる点はもはや少ないと感じました。なぜかというと中国は患者さんの数が多く、一人の脳神経外科医が経験する手術数は日本の10倍を超える場合もあるからです。今回学会の行われたウルムチは中国の西部に位置し「世界で最も海から遠い都市」といわれ、北京や上海などと比較すると中国の中でも後進の都市です。それでも見学させてもらった新疆大学附属病院は3000床を有し、脳外科は200床でかなりの数の手術をこなしていました。この病院の脳外科主任教授も日本での研修経験があり、少し日本語も話されておりました。

僕が語るのもおこがましいですが、これからの日中の交流というものは「教える―教えられる」というのもから、もっと別の形に展開していく必要があるように感じます。例えば日中で協力して、より後進の国々へ医療の指導や援助を展開していくとか。いずれにしてもこの会への参加は初めてでしたが、今後の活動内容に注目していきたいと思います。

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古閑比佐志

古閑比佐志

資格・所属学会
日本脳神経外科学会 専門医
日本脊髄外科学会認定脊髄内視鏡下手術・技術認定医
日本脊髄外科学会
日本整形外科学会
内視鏡脊髄神経外科研究会
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